奇才 江戸絵画の冒険者たち

アート

KISAI  The Pioneers ー Masters of Edo Painting

はじめに

 山口県立美術館で北斎、円山応挙や尾形光琳など著名な35名の江戸絵画の巨匠の作品が鑑賞できるとのことで、7月末の真夏日、猛暑の中ですが行ってきました。この展覧会の開催についてはTVコマーシャルで知ったのですが、期待以上に見応えがあり、圧巻でした。詳細な説明もあり、またコロナ対策で観覧者は予約制で制限されており、ゆったり鑑賞することができました。
 この展覧会の開催予定は下記ですが、山口県で鑑賞できて幸いでした。
 江戸東京博物館 2020年6月2日~6月21日
 山口県立美術館 2020年7月7日~8月30日
 あべのハルカス美術館 2020年9月12日~11月8日

山口県立美術館

プロフィール

  • 2020年7月7日(火)~8月30日(日)
  • 9:00~17:00 休館日:月曜日
  • 観覧料:一般 1,400円 シニア/学生 1,200円 18歳以下無料

アクセス

R山口駅より徒歩15分
バス停県庁前より徒歩5分、バス停山口市民館前より徒歩8分
自家用車 山口県庁前からパークロードを550m下り、右手にあります。
駐車場 美術館の前の地下道を通り、道路の向かい側に広い無料駐車場があります。

MAP
山口県立美術館HPより

コロナ対策

入場方法

 美術館のアプローチから往路、復路が分けられており、まず問診票記載、そして検温、消毒をして入館します。

◎ご来館される皆さまへ
●ご入館時に検温を行います。37.5度以上の発熱等の症状がある際は、入館をお断りする場合がございます。
●大人数でのご来館はお控えください。なお、団体料金での受付はいたしません。
●必ずマスクを着用し、周囲の方との距離をできるだけ空けてください。
●託児、カフェなど、休止させていただくサービス等がございます。

時間予約

 コロナ対策で時間指定の予約制になっており、事前にインターネットで9:00~16:30まで30分毎60人までの枠で予約を取り、同時に入場券を購入します。予約が60人に満たなければ当日予約無しの来場も可能でした。私は金曜日11:00を予約しましたが、予約数は半数くらいでした。返信されたメールをプリントアウトして持参するか、入場時スマホでQRコードを示せばいいようです。鑑賞時間は90分を目安とされていました。

展覧会

 地域別に作者が分類され、35人229作品が展示してありました。

冒頭展示

 「上町祭屋台天井図 女浪 北斎作」以前小布施の北斎美術館で屋台本体の「男浪」「女浪」共を見て感激しました。今回1枚だけの展示は比較のおもしろさに欠けますが、女浪の1枚だけでも波の迫力が感じられました。

京都

俵屋宗達(1)、尾形光琳(3)、狩野山雪(6)、伊藤若冲(3)、円山応挙(3)、長澤蘆雪(3)、
曾我蕭白(3)、池大雅(4)、与謝蕪村(6)、祇園井特(6)、狩野英岳(4)

円山応挙作 「四季の月図」は4幅の軸ですが、ほやけた輪郭の異なる表情の月が描かれ、上品な絵でした
伊藤若冲 菜蟲譜(さいちゅうふ) 絵画の教科書のような巻物で、薄茶色の生地に前半は野菜や果物、後半は虫や両生類、そして最後に野菜が品よく描かれていました。マグネットで野菜の一部が販売されていました。

大阪

中村芳中(5)、耳鳥斎(8)、林閬苑(4)、墨江武禅(6)

中村芳中 公卿観楓図 (図録より) 
楓の下に、三角の海苔のおにぎりのような後姿の公卿が座っているおもしろい構図

江戸

葛飾北斎(7)、加藤信清(4)、谷文兆(5)、鈴木其一(3)、狩野(逸見)一信(6)、歌川国芳(11)

葛飾北斎 「弘法大師修法図」中央の弘法大師空海が、平安時代に流行した疫病をは中央で念じており、病魔の赤鬼、木に巻き付く犬がすさまじい迫力で描かれている大作
歌川国芳「⽔を呑む⼤蛇」⼀幅 岩陰から首を出し勢いよく水を飲む大蛇の構図がおもしらい
加藤信清 「阿弥陀三尊図」「五百羅漢図」 五百羅漢の絵や線はすべて経文、つまり文字の集合で描かれている

諸国

原画ー蠣崎波響・詞書ー松平定信(1)、蠣崎波響(1)、菅井梅関(6)、林 十江(2)、河鍋暁斎(3)、
佐竹蓬平(5)、高井鴻山(9)、白隠(6)、田中納言(3)、岩佐又兵衛(3)、浦上玉堂(2)、絵金(4)、
仙厓(5)、片山揚谷(6)、神田等謙(1)

片山楊谷 「竹虎図屏風」 ⿃取・雲⿓寺蔵 虎の身体は無数の毛の集合体で描かれていて細密さと、一方竹は大胆に一筆で描写されており、コントラストがすばらしい
岩佐又兵衛 「伊勢物語 梓弓図」「三十六歌仙図」「和漢故事説話図」3作共に大変上品で美しい伝統的な画題の作品でした
絵金 「伊達競阿国戯場 累」 パンフレットに掲載されている作品で、中央の髪を逆立てて狂気に乱れる累(かさね)に対し、疑われている歌方姫の赤い着物の鮮やかさが目を惹きます

会場外展示 いいね!

展覧会グッズ

まとめ

 そうそうたる江戸絵画の巨匠たちの、ただ美しいだけではなく、妖怪や大蛇など題材も一つ捻ったもので変化に富んでいました。また虎の毛が1本ずつ書かれていたり、線がお経文であったりと気の遠くなるような細密画法などの新しい試みで描かれているなど、本当にじっくり見入り、興味をそそるものばかりでした。このような展覧会を近隣で見ることができたことを嬉しく思いました。
 コロナ禍で久しぶりの美術館でしたが、大変興味深く、また暑い中一時の涼をたのしむことができました。

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